ふるはしかずおの絵本ブログ3

『どうながのプレッツェル』- 「おくりものなら だれでも できる!」

世界一胴が長いダックスフント、プレッツェルの恋のはなしです。
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1歳になったとき、

プレッツェルは、ドッグショウで1等賞をとりました。

みんな、プレッツェルを見ると、

ほう!

といいました。

プレッツェルは得意満面です。

        

でも、グレタだけは、知らん顔

グレタは、向かいの家のダックスフントです。

プレッツェルは、グレタのことが大好きで、結婚したいと思っていました。

        

プロポーズ作戦のはじまりです。

はじめは、大きな骨を持っていきました。

きれいな緑のボールもあげました。

でも、だめ。

「おくりものなら だれでも できる!」

「ごらんよ。すごいだろ」

パンのプレッツェルにそっくりになります。

でも、これもだめ。

「パンやさんで売っている、プレッツェルのほうがずっと好き」

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ある日、グレタが

ボールを追いかけて、穴に落ちてしまいました。

ふかい ふかい穴で、グレタは外へ出られません。

プレッツェルが、走ってきました。

 

いま すぐ たすけるぞ!

 

プレッツェルは、長い胴を使って、グレタを助けます。

「あなたは、わたしの いのちを すくってくれた すてきなかた!」

「ぼくと けっこんして くれるかい?」

「もちろんよ」とグレタが言いました。

でも、あなたが どうながだから けっこんするんじゃないのよ!

     

そして、ふたりは、キスをして結婚しました。

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グレタに求愛するプレッツェルの行動が、いじらしい感じです。読者は恋の成り行きに注目します。

  

「あなたが どうながだから けっこんするんじゃないのよ!」

見た目じゃない、とグレタは言っています。主人公は、一般的にはプレッツェルということになるでしょう。しかし、このように言うグレタに共感し、グレタが主人公だとする読者もいるのではないかと思います。主人公は客観的には決めらないように思います。主人公は、読者にとって誰なのかということです。

 
また、表紙と裏表紙にまたがって、プレッツェルが描かれています。ほんとに長い胴体をしたプレッツェルです。『プレッツェル』は1944年の出版です。

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※『どうながのプレッツェル』マーガレット・レイ作、H.A.レイ絵、渡辺茂男訳、福音館書店 1978年 (2022/5/25)

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