ふるはしかずおの絵本ブログ3

『せんろはつづくよ』- 乗り物がすきな子どもたちに

マーガレット・W・ブラウンの文章、ジーン・シャローの絵、与田準一の訳の絵本です。3人の名前が興味を引きます。乗り物絵本です。

      ・・・

2台のちいさな機関車が、はしります。

最新式の機関車と古いちいさな機関車です。

西にむかって出発です。

こんな音をたてながら ……

    

最新式の機関車は、ぱふぱふ ぱふぱふ

古いちいさな機関車は、ちゃぐちゃぐ ちゃぐちゃぐ

     ・・・

トンネルを とおり抜ける、

 ぱふぱふ ぱふぱふ。

 ちゃぐちゃぐ ちゃぐちゃぐ。

にしに向かって、

 ぱふちゃぐ ぱふちゃぐ

     ・・・

川を渡り、 

 ぱふぱふ ぱふぱふ。

 ちゃぐちゃぐ ちゃぐちゃぐ。

にしに向かって、

 ぱふちゃぐ ぱふちゃぐ。

雨が降るなか、

雪が降るなか、

月にてらされ、

朝日のなかも、

汽車はならんで、

にしに向かってはしります。

 ぱふちゃぐ ぱふちゃぐ。

     ・・・

風が吹き、

ほこりが飛ぶなかを、

険しい山ものぼり、くだり、

2だいのちいさな汽車は、

 ぱふちゃぐ ぱふちゃぐ。

     ・・・

ながい ながい旅でした。

くたびれた きみと ぼく。

あかるい うみに つきました

たのしい うみに きたのです

ぱふぱふ、ちゃぐちゃぐというユニークな音。その繰り返しが心地よく感じます。読みかたりの楽しい絵本です。リズム感のある文章(訳文)は、マーガレット・W・ブラウンの絵本の特徴のひとつです。

 

また、呼称の変化もおもしろい。「2だいの ちいさな きかんしゃ」「さいしんしきの きかんしゃ」「ふるいちいさな きかんしゃ」から、「きしゃ」「ちいさな きしゃ」「ふたつの きしゃ」、そして最後に「きみと ぼく」と人称代名詞に変化し、「2だいの ちいさな きかんしゃ」が人間のようになっていきます。

   

「2だいの ちいさな きかんしゃ」が西へ西へと進むのは、大陸横断鉄道のことかも知れないと想像してみます。 「あかるい うみ 、たのしい うみ 」というのはカルフォルニアの西海岸のことでしょうか? そのように想像してみると、スケールの大きな話になります。

    

「きみと ぼく」は、

いつも「ぱふちゃぐ ぱふちゃぐ」

と並んで走ります。

        ・・・

※『せんろはつづくよ』 マーガレット・W・ブラウン文、ジーン・シャロー絵、与田準一訳 、岩波書店、1979年  (2021/9/30)

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