ふるはしかずおの絵本ブログ3

『しょうぼうねこ』-ピックルズは行動で自分を語る

黒い点のある黄色いネコ、名前はピックルズ。野良猫のピックルズが消防士となり活躍する、3つのおはなしです。

 1.ピックルズ

 2.しょうぼうねこ

 3.おおきなき

     

 

1.ピックルズ

野良猫のピックルズ。

毎日、ねこたちを追いまわす。

ピックルズには、それだけしかすることがありません。

仲良しは、グッドカインドさんという奥さんだけでした。

グッドカインは言います。

よくて わるい、わるくて よい、おまえは ごちゃまぜ ねこだ」

 (シェイクスピアの「マクベス」の台詞みたいです)

     ・・・

グッドカインドさんは、

ピックルズを家に連れて帰ります。

でも、

ピックルズは、

いつものように こねこを追いまわします。

ある日、

ピックルズは、

大きな木に登って、

降りることが出来なくなりました。

消防士のジョーに助けられ、消防署で飼われることになりました。


 

2.しょうぼうねこ

消防署で、

ピックルズは役にたつことを考えるようになります。

消防訓練もします。

火事場ではホースを押さえて、水をかけるのをお手伝い。

ピックルズは、
みんなにほめられ、

消防士になったという「しょうぼうねこ」。

 

     

3.おおきなき

消防署で働いているうちに、ともだちもできました。

みんなと遊んでいるとき、

とつぜん

「ねこが きの うえに いるぞ」という署長の声。

ピックルズも出動します。

ピックルズは、木の上で降りられなくなった、こねこを助けました。

いたずら好きの野良猫・ピックルズが、立派な「しょうぼうねこ」になるおはなしでした。語り手は、主人公・ピックルズの内面より、彼の行動を中心に語っています。60ページもある絵本です。一気に読むのはたいへんかもしれません。でも、読者は、主人公・ピックルズについて行けば大丈夫。小さい子でも飽きずに聞いてくれるのではないかと思います。

  

ピックルズは、語り手の外の目で表現されていますが、ピックルズの内面を語る「せりふ」が5ヶ所あります。そこを読むだけでも、ストーリーが分かるかもしれません。

 

「ぼく、もっと しょうぼうの ことを べんきょうしよう。まず、この はしらを すべり おりる れんしゅうだ。」「もういちど」

        ↓

「ぼくは、いつも、ほかの ねこを おいかけたりして、いじわるな ねこだった。なぜ あんな ひどい ことを したのだろう。」

        ↓

「そうだ、ぼくが いた あの、うらにわだ。あそこの あの きだ。」

        ↓

「おいで、たすけて あげるよ。」

      ・・・

※『しょうぼうねこ』 エスター・アベリル作・絵、藤田圭雄訳、文化出版局 1974年

 

【 追 記 】

・消防士や消防車はかっこいい。『しょうぼうじどうしゃじぷた』『ちいさいしょうぼうじどうしゃ』(共に福音館書店)もあります。

 

・文中の「マクベス」の台詞とは、第1幕に登場する3人の魔女たちの言葉です。 Fair is foul, and foul is fair. 「いいは悪いで、悪いはいい」小田島雄志訳  (2020/7/1)

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