ふるはしかずおの絵本ブログ3

『こぶとりたろう』 - 国語のこぶ、算数のこぶ、社会のこぶ、理科のこぶ

頭にできた4つのこぶを

オニにとってもらうという、奇想天外なおはなしです。

      ・・・

かあさんが、たろうを叱ります。

こんなにわるい点をとるのは、あたまがかたいせいだよ

まずい、

と思ったたろうは、

算数、国語、理科、社会の勉強をはじめます。

すると、

頭になんでも入っていくようです。

妹のちょん子は、たろうの頭にこぶが現れ、ぴくぴくと動くのに気がつきました。こぶは、4つもできました。

      ・・・

国語のこぶ、

算数のこぶ、

社会のこぶ、

理科のこぶ

 (どうして「国語」のこぶって、わかったの?)

たろうが、こぶに手を当てて考えると、

ぴくぴくして、

国語、算数、社会、理科の知識が、スラスラと出てくるのです。

 (すごい ヽ〔゚Д゚〕丿スゴイ)

でも、「おれ、やだよ」

 (それはそう。かっこわるい!)

たろうは、泣きました。

ちょん子が、忘れてみたら、元に戻ないかと提案します。

でも、忘れようとすると復習になってしまいました。

かえってまずい。

      

ちょん子の次の提案は、

「こぶとりのじいさん」のオニに取ってもらおうというものです。

 (すごい発想です。ヽ〔゚Д゚〕丿スゴイ)

      ・・・

夜になると、

ふたりはオニをさがしに山へ。

おおきな木の洞穴で寝ていると、

パチパチ、

火が燃える音がします。

すると、

オニが4ひき。「一ぼこ、二ぼこ……」と歌をうたっています。

おそろしいオニにビビる たろう。

ちょん子に背中をおされて、オニの前に飛びでました。

度胸を決めて、デタラメな歌と踊りをする たろう。

オニたちは喜んでいいました。

おまえのうたとおどりは、たいしたもんだ。そのこぶを、一つあずかっておくから、あしたもこいや

 (昔話にソックリ)

4人のオニが一つずつこぶをとったので、

たろうは、ほっとしました。

      ・・・

それから、どうなったかって。

結局、勉強が苦手なたろうに元通りです。

 (これでおしまい?)

後日談・落ちがあります。

   

こぶを持ち帰ったオニたちは、自分の子どもに国語のこぶ、算数のこぶ、社会のこぶ、理科のこぶをつけると、勉強が得意な子に大変身です。オニの子は、こぶか一つ余計についても気にしませんでした。なぜって、頭にもう角をはやしているんですから。

     ・・・

奇想天外なストーリーで、ナンセンスも盛り込まれています。ファンタジーや民話の世界もごちゃまぜです。落語の要素も? でも、「こぶとりのじいさん」の昔話が、おはなしをつなぎとめています。たろうの頭に、国語のこぶ、算数のこぶ、社会のこぶ、理科のこぶができるなんて、なんてありえない! Σ(´∀`;) 


「こぶとり」だけに、おはなしに、こぶの「落ち」(オチ)がありました。

     ・・・

※『こぶとりたろう』たかどのほうこ作、杉浦範茂絵、童心社、2009年

  

【 追 記 】

主人公はたろうですが、妹のちょん子も大切な役割を担っています。でも、「ちょん子」とは、人を食ったような名前です。おはなしは長く、だいぶ端折りました。2010年に読書感想文コンクールの課題図書(小学校中学年)です。  (2020/10/6)

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