ふるはしかずおの絵本ブログ3

『くにのはじまり』- 日本の神話を絵本で

01「日本の神話(全六巻)」のうちの第一巻、
創世記です。
     ・・・
その昔、
世界は、
水に浮いた 油のようなものでした。
神の国-高天の原(たかまのはら)は、
天之御中主(あめのみなかぬし)の神が おさめておりました。
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天之御中主は、
男神(おがみ)の 伊邪那岐(いざなぎ)と
女神(めがみ)の 伊邪那美(いざなみ)に 
下界を すみやすい土地にせよと、お命じになります。
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伊邪那岐と伊邪那美によって 
つくられた は、
淤能碁呂島(おのごろしま)と 名づけられました。   
21やがて、ふたりは結ばれ、三十五人の神を うみます。
家の神、
川の神、
海の神、
農業の神、
風の神、
野の神、
山の神、
船の神、
食物の神・・・
さいごに うんだのは 火の神
しかし、
伊邪那美は、この子のために やけどで、亡くなり、
黄泉(よみ)の国へと 旅立って しまいました。
    ・・・
伊邪那岐は、
いとしい伊邪那美に 会おうと、
黄泉(よみ)の国を たずねることに しました。
「 どうか もう一度もどって、力をかしておくれ 」
「 二度と 生きたものの国へは かえれぬ ならわしです・・・わたくしのすがたを みようと 思ってはいけません 」
   ・・・
しかし、伊邪那岐は、中へふみこんで しまいました。
そこで、見たものは・・・
「よくも わたくしの みにくいすがたを みましたね」
伊邪那美は、
手下の女鬼どもに命じて、伊邪那岐を 追わせます。
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伊邪那岐は、
つる草 をなげ、
をなげ、
桃の実 をなげて、逃げかえります。
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そして、死者の国の 穢れを 落とすために、
水辺で みそぎを おこないます。
体を 清めるうちにも、神々が つぎつぎとうまれます。
左目を洗うと、天照大御神(あまてらすおおみかみ)、
右目を洗うと、月読神(つきよみのかみ)、
鼻を洗うと、 須佐之男(すさのお)の命(みこと)が生まれました。
     ・・・
伊邪那岐は、
天照に 高天の原を
月読神に 夜の国を
須佐之男に 海上を 治めさせるようにしました。
これが、くにのはじまりです。
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黄泉の国での出来事が すこし怖い。でも、ドラマにあふれた世界で読みごたえがあります。この絵本から、やさしい『 古事記 』『 日本書紀 』へと進んでください。作家の福永武彦さんに『 古事記物語 』( 岩波少年文庫 )、『 現代語訳 日本書紀 』( 河出文庫 )があります。小学校中高学年向けの絵本です。
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※『 くにのはじまり 』舟崎克彦文、赤羽末吉絵、あかね書房 1995年 
【 追 記 】
「日本の神話」は 全六巻です。
(1)『 くにの はじまり 』 
(2)『 あまの いわと 』 
(3)『 やまたの おろち 』 
(4)『 いなばの しろうさぎ 』 
(5)『 すさのおと おおくにぬし 』 
(6)『 うみさち やまさち 』 
いずれも、舟崎克彦文、赤羽末吉絵。こうした絵本を出版した作者と出版社に敬意を表します。 (2018/2/3)

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