ふるはしかずおの絵本ブログ3

『きつねのホイティ』- 騙したつもりが、逆にからかわれる

スリランカのお話です。登場人物は、くいしんぼうのきつねのホイティ。元気のいいアンゴウさん、マンゴウさん、ランゴウさんという3人のおかみさんです。

      ・・・

ある晩、

ホイティは、人間に変装してやってきました

「たびのものです・・・おなかがすいています。なにかひとくち、たべさせてくださいませんか」

「まあ、おきのどくに。」

アンゴウさんは、ごはん、カレー、さかなのフライ、ヨーグルトでもてなしました、

ごちそうさまさまでございました。ありがとうございますでございます。」

 (ホイティの教養が見えます)

アンゴウさんは、きつねのしっぽに 気がつきました。

でも、気づかないふりをしました。

ホイティは、うたいます。

    

 ホイティ、トイティ このおれさまは♪

 なンとまあ あたまがいいんだろ

 ばかなアンゴウはだまされて♪

 きつねとしらず このおれさまに

 ごちそうだして もてなした

 ホイティ、トイティ、ホイティティ!

     ・

味をしめたホイティ。

マンゴウさん、ランゴウさんにもごちそうになります。

 (ホイティのうたがくりかえされます。)

でも、おかみさんたちは、きつねであることは、既にお見通しです。

     ・・・

おかみさんたちは、 森で、ホイティが自分たちを馬鹿にしていることを聞きました。みんなは、ホイティを懲らしめることにしました。

     ・・・

その方法は?

物干しづなに、ピンクの花嫁衣装をかけておきます。その晩、ホイティは、思った通り、花嫁衣装を着てあらわれました。でも、ホイティは、その服が花嫁衣装であることを知りません。アンゴウさん、マンゴウさん、ランゴウさんは、うたいます。はやしたてます。

       

 はなよめさん はなよめさん♪

 しっぽはやした はなよめさん

 おひげはやした はなよめさん

 はなよめいしょうが おにあいね♪

 でも

 はなむこさんは どうしたの? はなむこさんは どこにいるの? 

だまされ、からかわれたホイティは、 森のすみかに逃げかえりました。

おれとしたことが、はなよめいしょうをきせられるとはなあ

      ・・・

ホイティとおかみさんたちとのやりとりをユーモラスに描いています。その効果は「人物と読者の関係」にあります。

1.人物(ホイティ)は知らないが、 読者は知っている

2.人物(おかみさん)は知っている、読者も知っている

ホイティは、おかみさんの企みを知りませんが、読者は知っています。読者はつねに成り行きを知りうる立場にいます。高みに立っておはなしを聞くことができますから、ホイティのしていることが可笑しく感じられてきます。

 

リズミカルでユーモアのある歌もおはなしの魅力です。「ホイティ、トイティ、ホイティティ!」と口ずさみたくなるでしょう。

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※『きつねのホイティ』 シビル・ウェッタシンハ作・絵、 松岡享子訳  福音館書店 1994年  (2022/2/6)

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