風のつよい　冬のよる。

ある家族に　やってきた　うろんな客のおはなし。

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“ うろんな ” って、どんな意味 ？

うろん ― 怪しいさま。
「 うろんな・男」 『 新国語辞典 』 （ 角川書店 ）

どんなふうに、あやしいの ？

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うろんな人物（ 表紙 ）は、壁にむかって　鼻をおしあて、だまって立っているばかり。

声をかけても、

きく耳をもたず、

朝食では大食漢。

蓄音機のラッパをはずし、

煙突の中をのぞくのが大好き。

本をやぶり、

訳のわからない癇癪、

タオルをかくしたり、

気にいるものがあると勝手にもちさる

奇行のかずかず・・・

でも、どういうわけか、

一家は、その客を追いだすようでもないのです。

ふしぎ。

いったい　この生きものは　なに？ 

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そうです、

“ うろんな客 ” とは、子ども。

最後を見ればわかります。

 

―― というような奴が やって来たのが 十七年

　前のことで、 今日に至っても いっこうにいなく

　なる気配はないのです。

 

韻を踏んだ　原文は対句形式。

柴田さんの　翻訳は短歌形式。

 

　ともすれば　訳のわからぬ　むかっ腹

　風呂のタオルを　一切隠蔽

 

柴田さんは、 散文バージョンも書いています。

おなじところを引用します。

 

　訳のわからない癇癪を起こすことも しばしばで

　そうすると　浴室のタオルを みんな 隠してしまうのです。

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不可解な人物。でも、にくみきれない人物です。愛と戸惑いの目で見られた子どものすがたです。

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※ 『 うろんな 客 』エドワード・ゴーリー作・絵、  柴田元幸訳、  河出書房新社　 2000年