ふるはしかずおの絵本ブログ3

『あずきがゆばあさんとトラ』- みんなでトラ退治

韓国の民話です。日本の「さるかに」に似たはなしです。

       ・・・

むかし、

おばあさんが、あずき畑で はたらいていると、

トラが、おばあさんを 食べようとします。

       

「トラさん、トラさん、

このあずきが実ってから、あずきがゆを1ぱい食べるまで まっておくれ」

「あずきができるころに またきて、食ってやるからな」

       

おばあさんが、泣いていると、

たまごが、

ころころ 転がってきました。

「ばあさん、ばあさん、なぜ泣くの?」

「トラに 食われてしまうから」

あずきがゆ、1ぱいくれたら、たすけてあげる

たまごは、食べ終わったら、灰の中にかくれました。

       ・・・

おばあさんが、泣いていると、

スッポンが、

ノソノソ はいってきました。

「ばあさん、ばあさん、なぜ泣くの?」

「トラに 食われてしまうから」

あずきがゆ、1ぱいくれたら、たすけてあげる

スッポンは、食べ終わったら、水瓶に中にかくれました。

このあとは、くりかえしです。

うんち (土間にねそべりました)
きり  (土間にぴんと立ちました)、

石うす (戸口の上にぶらさがりました)、

むしろ (庭で寝転びました)、

しょいこ(庭の隅に立ちました) 

      ・・・

トラがやってきます。

「ばあさん、ばあさん、今日こそ食ってやる!」

土間は 真っ暗です。

トラが火をおこそうとすると、たまごが、トラの目をピシャリとひっぱたきました。

トラが、甕に手をいれると、

スッポンが、手を ガブリ

 

うんちで、すべり、

きりが、トラのおしりを ブスリ

石うすが、ドサリと押しつぶしてしまいました。

むしろが、トラを ぐるぐるにして、

しょいこが、それを担いで、川に ドボンと放り投げました。

      ・・・

たまご、スッポン、うんち、きり、石うす、むしろ、しょいこに助けられ、おばあさんは、いつまでも幸せにくらしましたとさ。

韓国の庶民が伝えたはなしです。 「さるかにがっせん」に似ていますが、トラが悪役というところが韓国らしいところです。 ばあさんの身近にあるものたち、たまご、スッポン、きり、石うすが大活躍です。繰り返しのリズムも軽快です。ワクワクドキドキの読書体験で、さいごはスッキリ。

 

絵はコラージュの技法が使われています。むしろの赤が印象的です。

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※『あずきがゆばあさんとトラ』チョホサン文、ユンミスク絵、おおたけきよみ訳 アートン 2004年  (2022/6/10)

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