ふるはしかずおの絵本ブログ3

『あかいろうそく』- じんぶつたちの行動が面白い

赤いろうそくを花火だと思い込む どうぶつたちの ひと騒動です。

『ごんぎつね』の作者・新美南吉(1913-1943)の作品です。

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さるが、

一本の赤いロウソクを拾いました。

さるは、それを花火だと思いこみます。

 (「人物は知らないのに、読者は知っている」というパターンです)

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鹿

しし

うさぎ

かめ

いたち

たぬき

きつね は、花火というものを見たことがありません。

大騒ぎになりました。

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「あぶない あぶない・・・ばくはつするから」

さるは、花火の音や花火の美しさをみんなに聞かせました。

それを見たいというどうぶつたち。

山のてっぺんで打ち上げることにしました。

夜、

木の枝にくくりつけられた 赤いろうそく。

でも、だれも火をつけたがりません。

そこで、

くじをひいて火をつける者を決めることにしました。

当たったのは、かめ。

かめは、花火のそばまで来ると

くびが引っこんでしまいました。(笑)

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こんどは いたち。

でも、近眼のいたちは、ロウソクのまわりで うろうろ。

つぎは しし。

勇ましいししは、ほんとうに火をつけてしまいました。

みんなはびっくり。 ヽ( ´Д`;) ノ

しかし、

ろうそくは 静かに燃えているばかりでした。

人物たちは、ろうそくを知りませんでした。ろうそくを花火と間違う始末です。でも、読者の子どもは違います。ろうそくは、音をたてないし、花火のように夜空で輝くこともないことを知っています。こうした人物と読者の関係が、ほのぼのとしたユーモアをうむところです。身近な題材やストーリーを大切にした新美南吉の特徴がよく出ています。また、語り手の「のであります」「ありました」という語り口調は古風な感じをを与えますが、懐かしさや郷愁も感じさせます。おはなしは「落語」のようです。1936(昭和11)年に発表された作品です。

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※『あかいろうそく』 新美南吉作、鈴木寿雄絵、フレーベル館 2013年  (2019/6/10)

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