ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 ぼうし 』 - もうひとつのストーリーを語る絵

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くつしたは ぼうし?
くつしたを めぐる 大騒動です。
     ・・・
冬が きます。
リサは 冬もの だして 外へ はこびました。
物干しに つるした 冬ものから、
毛糸の くつしたが 吹きとばされました
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知りたがりやの はりねずみの ハリーが、
くつしたを 見つけます。
鼻を つっこむと、くつしたは はりに ささって とれなくなりました。
めんどり かあさんは
「 コーッ コッ くくく。 ハリーは なにを かぶってるの 」
あたらしい ぼうし。いいでしょう?
ハリーは、ぼうしだと 言い張ります。
      ・・・
やかましやの がちょうは、
「 グワッ グワッ ぐはは。いぶくろ かついだ はりねずみだ 」
フンだ。これさえあれば あめでも へいき
      ・・・
きのうえの ねこ。
「 ミャーオ おほほ。みっともない はりねずみだこと 」
おかげで ふぶきでも あたたかい 」 
999つぎは、
いぬの おやこ。
ぶたの かぞく。
こうま。
はりねずみの ぼうしを 
みんな みょうなもの、へんてこりん と言って 笑います。
      ・・・
みんなに 笑われて うんざり。
ぼうしのために 巣穴にも はいれません。
リサが、やってきて 
はりねずみの くつしたを はずしてくれました。
おかしな はりねずみさんね。どうぶつは ぼうしなんて かぶらないのよ
      ・・・
物干し場の 冬ものが 風に飛ばされ、
みんな 消えています。
どこへ いったのでしょうか ?
 ( 下の絵を 見てください。 )
ぼくも
わたしも
これで すてきな ぼうしもち!

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知りたがり屋の はりねずみの 大失敗です。
はりねずみのように、くつしたを被るようなことはしませんが、喩えとして見れば、私たちの中にも、ありそうな出来事です。おはなしは、寓話のようです。
      ・・・
絵がとても魅力的です。人物やものの質感がしっかりと描かれています。画面の右と左に絵があります。また、物干しにつるされた冬ものも 表現されています。それが、だんだん すくなっていく発見もあります。こうして、読者の視線は、ひとつの絵のなかを めぐります。異なる時間と場所が、ひとつの絵の中に 表現されています。じっくりと 絵を見ながら、子どもたちともうひとつのストーリーを紡ぎだしてください。
     ・・・
※「 ぼうし 」 ジャン・ブレット作、松井るり子訳 ほるぷ出版 2005年  (2017/10/24)

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