ふるはしかずおの絵本ブログ3

『たんぽぽ』-絵と文のひびきあう関係

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たんぽぽの絵本 ( 『 たんぽぽ 』  平山和子作、 北村四郎監修、 福音館書店 )の傑作です。

タンポポは、 誰でも その名を 知っている親しみの ある花 ( キク科の 多年草)です。

 

どんな ところで みましたか。

「 こんなところに  さいている 」 とは、 こどもの 背よりも 高い石垣の間に 咲いている タンポポの ことです。

でも、 「 どうやって はえたのでしょう 」。

この問いに 対する答えは、 最後までお預け。

読者に対する仕掛けです。

 

タンポポの花に 白い花の あることが 書かれています。

白いタンポポが あるというのは、 読者の興味を 一層 引き立てる事実です。

わたしは このことを 知りませんでした。

西日本に 広く 分布する シロバナタンポポは、 その名の通り、 白いタンポポなのです。

 

ふゆのあいだ、 たんぽぽは  はを ひくく、 じめんに ひろげていました。こうして、 つめたいすぜから、 はを まもっていたのです。

 

冬の間は、 葉をひくく、 放射状に 地面にひろげています。

上から見ますと、 バラ模様に 見えるところから、 これを ロゼットと言います。

このロゼットは、 冬の環境に 適応した形です。

誰でも 寒いのを 好みませんが、 それは タンポポも 同じです。

タンポポは、 太陽に 暖められた地面の熱を 効率よく 受けとめるために、 葉を低く 広げて いるのです。 また、 光も 十分 受けられます。

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たんぽぽのねを ほってみました。 ずいぶん ながいねです。 はが ふまれたり、 つみとられたりしても ねは いきています。 つぎつぎに、 あた らしいはを つくりだします。 ねを きって うえてみると、 やがて はが でてきて、 ひとかぶの たんぽぽになります。 じょうぶな ねですね。    

 

絵本では、 このタンポポの 根を 描くのに、 4ページ分が つかわれています。

どのくらい あるのでしょうか。

 実際に 測ってみますと、 絵本の根は 79センチも ありました。

タンポポの根は、 再生力が 強く切られても 芽をだします。 その様子が 絵本に描かれています。

 

はるのはれたひに、 つぼみが ひらきはじめて、 はなが さきます。 ゆうがた、 ひかげになると、 とじてしまいます。 よるのあいだ、 ずっと とじています。 つぎのひ、 ひがさしてくると、 きのうよりも もっとよく ひらきます。 そして、 ゆうがたには、 また とじてしまいます。

 

これは、タンポポの 開閉運動の 説明です。

タンポポの花は、 1日目で 半分~3分の2くらいが開き、

2日目で すっかり 開きます。 どれも 2日間 咲き続けると、

3日目には開きません。

絵本は それを正確に表現しています。    

 

た、絵本にあるように、タンポポの花は、夕方になるとつぼみはじめます。とても面白い現象です。

これを就眠運動といいます。

タンポポの花は、光を感じて開閉する花のなかまです。  

 

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はなを よく みてみましょう。いっぽんのはなは、ちいさなはなの あつまりなのです。このはなを、かぞえてみたら、ちいさなはなが、240も ついていました。60のものや、150ものも ありました。このちいさなはなに、みが ひとつずつ できるようになっています。

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私たちがタンポポの花と言っているのは、たくさんの花が集まったもので、頭花(頭状花序)と呼ばれているものです。

タンポポの頭花は、大きさによって違いますが、だいたい200個ぐらいの花(小花)からできています。

小花は、舌の形似ているところから、舌状花とも呼ばれます。

絵本にもあるように、60のものや150のもの、240のものもあります。

小花がこのように200個も集まっていることは、生命をつたえるための合理的仕組みです。一匹のみつばちで、一度にたくさんの花が受粉できるからです。

 

はれたひに、わたげが ひらきました。たかく のびた わたげには、かぜが よく あたります。わたげは、かぜに ふきとばされます。かるくて ふわふわした わたげ は、おやかぶを はなれ、かぜにのって、とおくに ゆくことができます。 

 

絵本にもあるように、花が終わると茎は低く倒れますが、タンポポ枯れてしまったのではありません。

実が熟すと茎は起きあがって高くのびます。

私の摘んできたタンポポは、70センチもありました。

実際、茎は、開花時の1.5~2倍にまでなるようです。

種族保存のためのタンポポの戦略です。

タンポポは、このようにして、あちらこちらに 種を ちらして、あたらしい なかまを ふやして いきます。

 

かぜに はこばれてきた みが、つちに おちました。やがて、ねを だしました。 ここで、たんぽぽは おおきくなることでしょう。このようにして、たんぽぽは いろいろなところに はえていくのです。あなたのいえのちかくに、たんぽぽが ありますか。さがしてみましょう。

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タンポポの花が、石垣の間や石畳のすき間、線路のわきに咲いているわけが、これでわかりました。

 

最後の画面に、アリ(蟻)がいます。

でも、なぜ、アリ?

タンポポの種は、アリの大事なたべものなのです。

簡潔な内容と迫力のある絵、絵と文の補い合う関係などを見ますと、絵本はすみずみまで読まなければならないとつくづく思います。

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※『たんぽぽ 』  平山和子作、 北村四郎監修、 福音館書店  1976年

 

  

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