ふるはしかずおの絵本ブログ3

『かさこじぞう』-現代に生きる民話

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「 ああ、 そのへんまで  おしょうがつさんが ござらっしゃると いうに、 もちこのよういも できんのう。 」

   ・・・

じいさま と ばあさまは、

正月を前にして、

おもちの用意も できません。 

おもちと 交換できるようなものは、 なにもないのです。

まずしい ふたり。       

     ・・・

しかし、

ふたりは、  仲のよい夫婦です。

夏のあいだに 刈っておいた、 すげを見つけ、

「 じいさま じいさま、 かさここさえて、 まちさ うりにいったら、  もちこ かえんかのう。」

「 おお おお、 それがええ、 そうしよう。」

     ・・・

かさが、 5つできると、 じいさまは、

「 かえりには、もちこかってくるで。 にんじん、ごんぼもしょって くるでのう。 」 と言って、でかけました。

やさしい、 思いやりのある じいさまです。

     ・・・

おはなしのなかに、

「 さぞ つめたかろうのう 」 が、

3回 くりかえされます。

じいさま、 ばあさま の、

相手をおもいやる、

あたかい人間関係を 見ることができます。

     ・・・

1. 「 おお、 おきのどくにな。  さぞ  つめたかろうのう。 」  

        じいさまの   じぞうさまへの   言葉です。

     ・・・

2. 雪の なかから 帰ったじいさまに、

  「 じいさまかい。  さぞ  つめたかったろうの。 」

     という ばあさまの言葉が、つづきます。

     ・・・

3. そして、 ばあさまは、 じいさまが、 じぞうさまに、 かさを
  かぶせたことについて  こういいます。

   「 おお、  それは  ええことをしなすった。  じぞうさまも、
  このゆきじゃ  さぞ   つめたかろうもん。 」

    ばあさまは、 「 じぞうさまも 」 と いっています。 

    「 じぞうさまも 」 の 「 も 」 は、

    もちろん 「 じいさま 」 を    思いやっての 「 も 」 です。

     ・・・

このような   おふたりに、  なにかしてあげたい    気持ちになります。

そして、

幸せな結末を  期待する 読者の心を見すかすように、

六人の じぞうさまが やってきます。

  ずっさん ずっさん。

  こめのもち、

   あわのもち、  

  みそだる、

  にんじん、

  ごぼう、

  だいこん、

  お飾りの松 ・・・
  を おいていくのです。

  めでたし、 めでたし。

     ・・・

相手を   いたわり、

おもいやる    こころが   描かれた    世界。

おじぞうさまの    慈悲の世界。

おはなしの   背景には、  おじぞうさまへ の信仰 が あります。

しかし、
この 「 かさこじぞう 」 には、

じいさまと   ばあさまの   夫婦愛 も、  えがかれています。

やはり、

現代の民話 です。

     ・・・

※『 かさこじぞう 』  岩崎京子文、  新井五郎絵、  ポプラ社

 「 かさじぞう 」 には、 他にも すばらしい作品があります。

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  『 かさじぞう 』  松谷みよ子作、 黒井健絵、 童心社

 『 かさじぞう 』  瀬田貞二再話、 赤羽末吉絵、 福音館書店

  『 かさじぞう 』  山下明生作、 西村敏雄絵、 あかね書房

 『 かさじぞう 』  柏葉幸子作、 村上勉絵、 小学館 ・・・

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