ふるはしかずおの絵本ブログ3

『3びきのくま』-おんなのこの見る視点は、子どもを見る視点

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「3びきのくま」は、もともとはイギリスの昔話です。

トルストイの絵本は、
さんびきのくまの紹介からではなく、
はじめに、おんなのこが登場します。
ここが仕掛けです。

      ・・・・・・

ひとりのおんなのこが もりに あそびに いきました。おんなのこは まってしまって かえるみちを さがしましたが、どうしても みつかりません。

      ・・・・・・

語り手は、
おんなのこをわきから見るようにかたり始めます。

しかし、第2文の「おんなのこは まってしまって・・・」は、

おんなのこに寄り添って語っているように読めます。

この後、
語り手は、

おんなのこに寄り添い、

かさなるように語っていきます。

      ・・・・・・

のぞいてみると だれもいませんので なかへ はいりました

                 ・・・・・・

語り手は、
もう、ほとんど、おんなのこになっているかのようです。

このため、聞き手の子どもたちは、おんなのことともに、くまの家に入ってしまうのです。 

聞き手の子どもたちを、くまの家に導くように読むのが、面白いでしょう。

     

しかし、
この家は、・・・

「3びきのくまの いえなのです。」

読者は、この家がくまの家であることを知ってしまいました。
でも、おんなのこは知りません。

3びきのくまは、散歩に出かけていたのです。

人物と読者のこの関係が、この後の読みの体験をつくります。

 

この後、おんなのこは、

三びきのくまの「すーぷ」をのんだり、

「いす」をうごかして遊んだり、

べっとのシーツをしわくちゃにしたりします。

そして、最後は、ミシュートカのべっとに寝てしまうのです。

 

そこへ

さんびきのくまが帰ってきます。

さあ、どうなるのでしょうか。

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くまたちは、怒ります。

   だれだ。

   だれです。

   だれだい。

くまたちは、ますます、おんなのこに、近づいていきます。

スリル。
サスペンス。
こわいもの見たさ。・・・

読者の心は、おはなしに釘付け。ドラマチックな体験がうまれます。

「さんびきのくま」の面白さです。

でも、その結末は。

すこし意外なものです。子どもたちは、どう考えるのでしょうか。

 

 ※ 『 3びきのくま 』 トルストイ作、 バスネツォフ絵、 おがさわらとよき訳、 福音館書店  1962年

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