ふるはしかずおの絵本ブログ3

『パパのしごとはわるものです』-どんな仕事にも「自分の役割」ある

プロレスの悪役の父親のおはなしです。

語り手は、ぼくです。

      ・・・

学校の宿題は「おとうさんのしごと」です。゛

ぼくは、こっそりパパの車にのりこみ、

パパの仕事を調べることにします。

体育館に入るパパ。

「あかコーナー、ドラゴン・ジョージ。あおコーナー、ゴキブリマスク」

プロレスが始まります。

でも、

パパの姿が見えません。

    ・・・

カーン

ドラゴンは、正義の味方。

ゴキブリマスクは、悪役。

ゴキブリマスクは、ずるいことをして、ドラゴンを痛めつけます。

ぼくは、あたまにきました。

ドラゴンを一生懸命に応援します。

ぼくとゴキブリマスクの目と目が合いました。

おどろく ゴキブリマスク。

おどろく ぼく。

そうです。

ゴキブリマスクは、パパだったのです。

     ・・・

反撃する ドラゴン。

やっつけられる ゴキブリマスク。

みんなは大喜びです。

でも、よろこべない ぼく。

もう、やめて!

      ・・・

ゴキブリマスクは、負けました。

ぼくは、パパがなんで悪いことをしているのかわりません。

パパなんて、だいきらいだ。

でも、

パパといっしょの帰り道、

パパが言います。

わるものが いないと、せいぎの みかたが かつやくできないだろう? みんなの ために パパは がんばって わるいことを しているんだ。わかるか?」

「わからないけど、わかることにする」

そして、正義の味方の顔で笑うパパに、

ぼくは、言います。

「わるものでも いいけど、こんどは かってね」

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プロレスに興味をもっていた頃、私にとって悪役レスラーは、アブドーラ・ザ・ブツチャーでした。試合となれば、フォークなどの凶器攻撃と流血があたりまえの「黒い呪術師」と言われたヒールでした。その彼のインタビー記事( NHK NEWS WEB )を見つけました。そこに、ブッチャーさんの意外な言葉がありました。サブタイトルの「どんな仕事にも『自分の役割』がある」も彼のことばです。

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世の中には常にさまざまな役割を持った人たちがいて、ひとりひとりが大切な存在なんだ

      ・・・

「インタビュアーはこうして映像に残るけど、周りの、本当に頑張っている人たちにカメラが向けられることはない。このインタビューが成り立つのも、ここにいるスタッフのおかげなんだよ。ちゃんとカメラを持って追いかけてくれる人がいなければ、形にならないんだから

      ・・・

「若い人たちに言いたいです。自分の親が年をとっても、決して施設に預けたままにして、忘れるようなことだけはしないでくれ。いずれは君たちだって、年をとってそうなるんだから。親は大事にしなさい、それだけは言いたい」(「さらば! 唯一無二の「ヒール」アブドーラ・ザ・ブツチャー」NHK NEWS WEB)

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※『 パパのしごとは わるものです 』 板橋雅弘作、吉田尚令絵、岩崎書店 2011年

     

【 追 記 】
ぼくはパパのことを「わるもの」と言っています。また、パパも自分のことを「わるもの」と言っています。そして、作者はタイトルの中で「わるもの」と書いていますが、タイトルには「わるもの」ではなく「あくやく」と書いてほしかったと思いました。  (2019/12/27)

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