ふるはしかずおの絵本ブログ3

『くだもの』-語り手と聞き手の「対話」

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平山和子さんの素敵な絵本、『くだもの』 (福音館書店 1981年)です。

       ・・・

    すいか  さあ どうぞ

    もも     さあ   どうぞ

    ぶどう   さあ   どうぞ

        ・・・

    ばなな  さあ どうぞ

    ばななのかわ むけるかな?

    じょうずに むけたね。

       ・・・

絵本を 読みながら、

果物を 食べるまねを している子どもも、  いることと思います。

さて、  絵本のなかで、 「 すいか  さあ  どうぞ 」 と語っている 人物がいます。

この人物を、 「 語り手 」  といいます。

         ・・・

ところで、

この語り手は、 誰にむけて、 「 さあ  どうぞ 」 と言っている のでしょうか。

 文章を読むかぎり、 まったく わかりません。

この相手が 誰なのかを 意識して 読んでみますと、

謎ときの おもしろさが あります。

 しかし、

とにかく、このように 呼びかけられている 人物がいます。

この人物を、

いま 「 聞き手 」 とよんでおきます。

      ・・・・・

一般に、 「 聞き手 」 はおはなしに 顔をだしませんが、 「 あなた 」 や 「 きみ 」 と 呼びかけられている ときがあります。

読者は、 この 「 聞き手 」 を意識することなく、 直接、 自分に 語りかけられた言葉として 聞くのでは ないでしょうか。

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しかし、

この絵本の場合、 「 聞き手 」 が描かれています。

最後に 登場した 女の子でした。

聞き手は、 絵で 表現されています。

最後のページに、

「 聞き手 」 の女の子が 描かれていることに、

意外な感じを もつのではないでしょうか。

読者は、

自分に向けて、 「 さあ どうぞ 」 と、言われていると ばかり思っていたのに、

自分ではなく、

女の子に向けられていたことを、

最後になって発見します。

この結末は、 複雑で 微妙な 感情体験を 生みだすことと思います。

「 この女の子は、 わたし 」 と言う子ども ( 読者 ) も いることでしょう。

       ・・・

食べてみたい果物が、

リアルな絵で 描かれていて、 読者を 引きこむ力のある 絵本です。

ひとりでも、楽しめますが、

親子で、 対話しながら、 読みたい絵本です。

        ・・・

※『くだもの』 平山和子作  福音館書店 1981年
『やさい』(福音館書店)も、平山和子さんのすてきな絵本です。

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