ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 うろんな 客 』-でも にくみきれない 人物です

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風のつよい 冬のよる。

ある家族に やってきた うろんな客のおはなし。

・・・

“ うろんな ” って、どんな意味 ?

うろん ― 怪しいさま。
「 うろんな・男」 『 新国語辞典 』 ( 角川書店 )

どんなふうに、あやしいの ?

・・・

うろんな人物( 表紙 )は、壁にむかって 鼻をおしあて、だまって立っている ばかり。

声をかけても、

きく耳をもたず、

朝食では大食漢。

蓄音機のラッパをはずし、

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煙突のなかを のぞくのが だいすき。

本をやぶり、

訳のわからない癇癪、

タオルをかくしたり、

気にいる ものがあると 勝手にもちさる

奇行のかずかず・・・

でも、どういうわけか、

一家は、その客を追いだすようでもないのです。

ふしぎ。

いったい この生きものは なに? 

・・・

そう、

“ うろんな客 ” とは、

子ども。

最後を見ればわかります。

 ―― というような奴が やって来たのが 十七年

 前のことで、 今日に至っても いっこうにいなく

 なる気配はないのです。

韻を踏んだ 原文は対句形式。

柴田さんの 翻訳は短歌形式。

ともすれば 訳のわからぬ むかっ腹

 風呂のタオルを 一切隠蔽

柴田さんは、 散文バージョンも書いています。

おなじところを引用します。

 訳のわからない癇癪を起こすことも しばしばで

 そうすると 浴室のタオルを みんな 隠してしまうのです。

・・・

不可解な人物。でも、にくみきれない人物です。

愛と戸惑いの目で見られた子どものすがたです。

・・・

※ 『 うろんな 客 』  エドワード・ゴーリー作・絵、  柴田元幸訳、  河出書房新社  2000年

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